第12話

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--11.嘘だろうが-- 忘れてくれ…? 突然の発言に俺は驚いた。 何が忘れろだ。 真剣に悩んだ俺が馬鹿だったのかよ。 「…帰ってくれ」 「え?」 「頼むから帰ってくれよ!」 何を八つ当たりする必要があるんだろう。 逢沢は悪くない,踊らされて真剣に悩んでいた俺が悪いのに。 全て逢沢の所為にしてしまった,俺はなんて子供なんだろう。 「すまなかった」 そう一言だけ言って,逢沢は去ってしまった。 俺,なんて酷い事をしたんだろう。 家の入り口前で,罪悪感を感じた。 逢沢の背中が遠くなっていく。 このままでいいのだろうか? いや,駄目だ。 逢沢との関係もより一層こじれていくだろう。 そんなの…嫌だ。 ただのクラスメイトなのに何で俺はこんなに焦る? どうなろうと関係ねぇのに。 もうわかんねぇよ,俺どうしたいんだよ? 「ごめんな」 この一言を言えばいいのに。 何を迷う必要があるんだよ。 気がつけば俺は走り出していた。 彼奴どんだけ歩くの早いんだよ… 追いつかない。 もう学校に着いたのだろうか? 暫く走っていると,歩く逢沢の姿を見つけた。 「逢沢!」 俺は彼を呼び止めた。 「何,佐藤」 ちょっと不機嫌そうだな…分かってた事だけど。 「え,と…さっきはごめん」 「口からで任せなんかじゃない? ほんとに謝る気あるなら,今度俺とデートしてよ」 「え…あ…その,逢沢さん?」 「ほんとに謝る気あるならそれくらい容易い事だよね佐藤」 …そうですね。 「…ま,まぁ謝る気あるよ」 逢沢には逆らえない気がする。 弱み握られてるわけじゃないのに。 「なら,デートね。 日時は来週の日曜日で,行き先は俺が決めとく,予定空けておいてね頼んだよ佐藤」 もう完全に逢沢のペースになってる… ほんと勘弁してくれよ。 逢沢はどんどん話を進めていく。 俺は放心状態で聞いていた。 来週の日曜日,波乱の予感。
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