第1話【伝説の獣と囚われの鉄人】

　
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　大陸南部、主不在の王国ドラグンフォースに連なる小さな集落シャルドーネ。

広大な穀倉地帯を有する低地の平原であり、それ以外にこれといった特徴を持ってはいない。また各主要都市へと通ずる交易ルートが確立されていなかった為に放置されている土地、とも言えた。

　麦畑を見下ろす丘の上には疎らではあったが幾つかの民家が窺える。更に周囲を見渡せば、酒場であるとか宿屋であるとか、そういったモノとは疎遠な土地であるのだと容易に窺い知れただろう。

しかしながら、滅多に訪れることない見知らぬ旅の一行に、快く寝床や手料理を提供してくれる地元住人達の優しさは、それに同等か、或いは勝っているとも言えなくもなかった。

　赤土で練られた煉瓦を積み上げ造られた住居の前にも、その木製のドアを叩き前述の優しさに肖ろうとしている者達の姿があった。

陽射し避けのローブを頭から纏った三人組である。