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それと、一件メールを受信していた。メルマガか迷惑メールのどちらかだろうと、俺は特に期待もせずにそのメールを開く。
「あ……」
意外なことに、表示された名前はメルマガでも、意味不明な迷惑メールでもなかった。
恐らく、俺にとって唯一の同年代の友達といってもいいであろう、此木 直也からのメールだった。
俺は少しためらってから、震える指で画面をタッチした。メールには何が書いてあるのだろか。
学校にこいとか、そんなふざけた内容ではないだろうな。
『鋭ちゃん、久しぶりです。元気にしてる?俺は無事に、△△高校の三年生になりました。色々
大変だけど、頑張ってま す。
けど、鋭ちゃんがいなくって寂しいです。久々に鋭ちゃんに会いたいな。もしよければ、今度遊びに行っ
てもいい?』
「は、ははは……」
外に出ることを促す内容じゃなくてよかった。俺はたった一人の友達を失ってしまうところだった。
しかし、まぁ。
こいつは相変わらず機械が苦手みたいだな。あれはいつだったっけ。
俺が学校にいっていたから……中三か、高一の時か、どっちかだ。
直也が、せっかく親に念願の携帯を買ってもらったのに、文字がうまく打てないと泣きついてきた事があった。
俺はその時携帯を持っていなかったけれど、なぜか直也よりはうまく扱えて、あいつに教えてやったな。
変に改行されたメールを見て、俺は思わず笑う。
ここ一年、ろくに顔も見ていないし、久々に会うのもきっと楽しいだろう。
直也に了承のメールを返信する。
さぁ、今日は何をしようか。
とりあえず、腹に何か入れるかな。
ベットからようやく起き上がり、俺は空腹を満たすべく、部屋から出た。
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