0人が本棚に入れています
本棚に追加
他のだれでもない、俺は、俺自身が大嫌いなのである。
錦織 鋭太郎という人物は一言で表すならば屑だ。屑。クズ。人間の屑。
こいつの屑さ加減は群を抜いている。日本の中でもトップクラスの屑だと、俺は思っている。
ひきこもってろくに外にも出ず、もちろん学校にもいっていない。そのおかげで留年した。
もう十八歳なのに、まだ高校二年生なんて馬鹿げた話だ。
それなのに、錦織鋭太郎という人物は未だに外に出ようとはしない。まったく、屑だ。
だから、俺は俺が嫌いなのだ。
「……いまさら」
部屋に俺の独り言が響く。
嫌に響いたその声は、散らかしっぱなしの部屋に、静かに吸収されていった。
のどかな昼下がり。俺はベットの上でくすぶっている。
昨日、というか、眠りについたのはついさっきか。ゲームをしていて、気がついたら太陽がもうすでに昇ってきていた。
確か、六時くらいには寝たんだったかな。
時計がわりにしている携帯を確認する。時間は十三時。
最初のコメントを投稿しよう!