第1話

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それと、一件メールを受信していた。メルマガか迷惑メールのどちらかだろうと、俺は特に期待もせずにそのメールを開く。 「あ……」 意外なことに、表示された名前はメルマガでも、意味不明な迷惑メールでもなかった。 恐らく、俺にとって唯一の同年代の友達といってもいいであろう、此木 直也からのメールだった。 俺は少しためらってから、震える指で画面をタッチした。メールには何が書いてあるのだろか。 学校にこいとか、そんなふざけた内容ではないだろうな。 『鋭ちゃん、久しぶりです。元気にしてる?俺は無事に、△△高校の三年生になりました。色々 大変だけど、頑張ってま す。 けど、鋭ちゃんがいなくって寂しいです。久々に鋭ちゃんに会いたいな。もしよければ、今度遊びに行っ てもいい?』 「は、ははは……」 外に出ることを促す内容じゃなくてよかった。俺はたった一人の友達を失ってしまうところだった。 しかし、まぁ。 こいつは相変わらず機械が苦手みたいだな。あれはいつだったっけ。 俺が学校にいっていたから……中三か、高一の時か、どっちかだ。 直也が、せっかく親に念願の携帯を買ってもらったのに、文字がうまく打てないと泣きついてきた事があった。 俺はその時携帯を持っていなかったけれど、なぜか直也よりはうまく扱えて、あいつに教えてやったな。 変に改行されたメールを見て、俺は思わず笑う。 ここ一年、ろくに顔も見ていないし、久々に会うのもきっと楽しいだろう。 直也に了承のメールを返信する。 さぁ、今日は何をしようか。 とりあえず、腹に何か入れるかな。 ベットからようやく起き上がり、俺は空腹を満たすべく、部屋から出た。
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