天使の鼓動side樹利

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15の頃、リンへの恋心が壊れてから思えば十年以上、誰にも恋していなかった。 それでもその間、たくさんの女を抱いてきて、それなりに恋愛をして来たと勝手に思ってきた。 女の服を脱がす、その瞬間の胸踊る気持ちが恋だと勘違いしていた。 けど、可愛に恋して気が付いたんだ。 今まで、恋愛をしていなかったということに。 恋していなかったから、すぐに色褪せた。 恋していなかったから、いつも強気で、余裕でいられた。 好きになった子には何もかも思い通りに行かなくて、自分をも思い通りに動かせない。 そんなこと、もう十年も恋していなかったから、忘れていて、ただ戸惑って怖がって、動けなかった。 もし可愛がカズの告白に頷いたとしたら、それは怖さを感じながらも、ためらわずにまっすぐにぶつかった男としての強さを見せたカズの勝利。 モタモタしていた自分が悪い。 必死に自分に言い聞かせ、息が苦しくなることを感じながら、カズを見た。
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