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「――参りました。
実は俺、樹利さんは今までとは毛色の違う素朴なタイプに一時的に興味を持っているだけなのかなと思っていたんですよ。
それならサッサと目を覚ましてくれたらいいのに、なんて、今この瞬間まで思ってたんです……。
そんなにもしっかり可愛ちゃんのことを見ていて、想っているなんて、想像もつきませんでした。
……俺とは想いの強さが全然違ったんですね。
俺はやっぱり、可愛ちゃんの素朴なかわいらしさが良くて、ちょっと付き合いたいなと思っただけのような気がしますし」
そう言いながら、カズの目に涙が浮かんでいた。
明るく振る舞いながら、軽く言いながら、可愛のことを真剣に想っていたことが伝わって、胸が痛んだ。
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