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そういうものなのか…と、正直僕は落胆していた。
デビューして初めてのトーク番組で緊張しているというのに、隣にいるベテランのマネージャーはそんなことお構いなしなのだ。
よほど、肝が座っているのだろう。だからこそ、僕のような新人のマネージャーになったのだと思うが。
「じゃあ、今日のところは解散しましょう。お疲れ様でした」
高宮さんは、そう言うとそそくさとその場を後にする。
僕は一人、取り残されたような気がして少し物寂しさを感じた。
「って言っても、何もすることないし、僕も帰るか」
そうして、今日も平凡に時は過ぎて行った。
次の日、朝の雑誌の撮影と取材は自分でも驚くほどスムーズに終わった。どうやら、高宮さんが根回ししてくれいたらしい。
その後の昼の生放送だって、ほとんど高宮さんの考えてくれたセリフを喋っただけだった。
つまらない。高宮さんはよくやってくれる、腕は確かなマネージャーだろう。だけど、タレントとしての僕を、どこまで親身に思ってくれているのか。
自分のやりたいようにしたい、って言った瞬間…高宮さんはどんな顔をするのだろう、と考えるだけで、僕はもう自分の気持ちを言葉に出せなくなっていた。
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