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疑問に思ったがとりあえず食べることにした。
「じゃあ、食べるぞ」
「では、食べましょうか」
「そうね」
俺達はテーブルに用意された料理を食べ始めた。
「ねえ、カヤ。今日のサラダとスープ美味しいわ」
「左様ですか、それは良かった。嬉しきお言葉ですわ」
「なあ、キョウの姿が見えないんだがあいつは何をしてるんだ?」
「そう言えば……どこにおられるんでしょうかね?」
キョウはいつもだったら居間のソファーで本を読んでいるのだが……まあ、そんな事を考えてもしょうがない。俺は食事に集中した。
そして、実際のところ、キョウは俺達の知らない所で長老と会話をしていた。
「そろそろ、カヤにも協力してもらおうと思ってます」
「そうか……、もうそんな時期か。思えばそなたらがこの村にきたのは十五年前じゃったのぉ」
長老は昔を思い出し、言う。
「そなたはまだ十の年ぐらいじゃった。それにそなたとカヤさんが仕えるあの兄妹はまだ赤子じゃったな」
キョウはええ、と相槌をうち口を開いた。
「まだこちらでお世話になりたいところですが、そうも言ってられない事になりました」
長老は納得したように頷き、話す。
「そうか、ではいずれここをでるのだな?」
はいとキョウは答える。長老は少し残念そうに仕方ないと呟く。それから、二人の間にしばらくの沈黙がながれる。そして、キョウは立ち上がり再び長老の目を見てこれからの事を説明し始めた。
「カヤは既に奴ら魔族が動き始めた事を知っています。なのでここは私とカヤで説明します。最初はお二人が受け入れられるのに時間はかかると思いますが、自覚していただきすぐにでも旅にでるようにいたします。あと、はっきりとしたことは言えませんが坊ちゃまは勇者の血を引いているとか」
長老はそれを聞いて目を見開いた。長老は大袈裟にも震えだし反面、喜びを覚えたような表情を見せた。
「おお!まさかあの若者が勇者と?我らにとってこれほどの奇跡はない、では旅立ちの時を教えてくれ」
そう言うと長老は落ち着いてお茶を飲む。キョウは旅立つ日を教え、長老もそれを了承し、会話は終わりを迎えた。
「では、一週間後私達は挨拶に伺います」
そう言うとキョウは挨拶をして家を出た。
俺とミルファはこの後、キョウとカヤから信じがたい事を言われるのだった。
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