150人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はてっきり焼肉屋に連れって行ってもらえると思っていたが、連れて行かれたのは焼肉も食べれるなんだか敷居の高そうな店の個室だった。
肉が運ばれる前に
「ここの肉は塩で食べるのが一番美味い」
っと夏樹が言っているのを、焼肉はタレ派の俺は『ふーん』っと聞き流したが、定員が肉と一緒にタレを持ってきたときに
「タレはさげていい」
なんて言いやがった。俺がタレ派なこと知ってるくせに・・・
ってかステーキみたいに分厚い肉だったけど、焼肉だよな?
夏樹お勧めの塩で夏樹お勧めのロースは口の中で溶けた、今まで俺が食べたこともないぐらい美味かった。
次はタレで食べたい。
匂いが付くかと思ったが、さすが敷居が高そうな店だけあって匂いはほとんどついていないように感じた。
店を出てそのまま車で実家に向かった。
懐かしい景色や、新しい家やシャッターの閉まった店、少し来ないだけで知らないものが増えていくのを少しさみしく思う。
少しして白くてケーキ屋みたいな可愛い家の前で車が止まった。
数年ぐりに見た俺の実家は相変わらず母親好みの乙女チックだった。
少し戸惑う俺を余所に夏樹はさっさとインターホンを押してしまった。
「はーーい、ちょっと待ってねー」
誰かも確認しないまま玄関を開けた母親は、最後に見たときよりも少し老けた気がするが、相変わらずフリフリエプロンをつけ、ニコニコ笑顔で俺たちを招き入れてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!