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「やっと顔出しにきてくれた、かなくん心配してたんだから」
細い腕で優しく抱きしめられ夏樹の目の前だし恥ずかしいが、心配かけていたのはわかっていたので大人しく『ごめん』っと謝った。
そして、やっぱり恥ずかしいので『もういいだろ』っと離れてくれるよう押した。
「香澄さんに心配かけたんだから、もう少し優しくしなきゃダメだろ」
王子スマイルでフェミニスト発言はいつものことだが、内心ただ恥ずかしがる俺を楽しんでいるだけだろう。
ちなみに香澄は母親の名前だ。
「夏くん連れてきてくれてありがと。夏くんも心配してくれてくれてたのよ、かなくんどこにいるか全然教えてくれないし」
実は俺は警察とかに連絡されるとまずいと思い定期的に母親には週1で電話で無事生きてると連絡を入れていた。
なんでいなくなったかも説明せずに、何処にいるとも連絡先も教えない俺に妥協案で週に1度は連絡するように言われていたのだ。
『もういいだろ、とりあえずここ玄関だし中に入ろう』
「ふふ、ごめんなさい。二人とも上がって」
「お邪魔します」
やっと母親の腕から解放され、俺と夏樹はやっと靴を脱ぎ家に上がれた。
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