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いつか役に立つかもしれないと思って覚えた番号が、まさかこんな用事で使うことになるとは思わなかった。
「かなちゃんから会いたいって連絡もらえるなんてすげー感激」
目の前で煙草を吸いながらフェロモン垂れ流して笑っている榊は上機嫌みたいだ。
俺は今モダン系のお洒落な隠れ家みたいな喫茶店で榊と2人で珈琲を飲んでいた。
「ここのフレンチトーストまじで美味しいから楽しみにしててねー」
どう話せばいいのか言葉がみつからない俺とは反対に、どうでもいい話をペラペラ話す榊に少し黙ってろっと言いたいが、沈黙になると反対に俺が話にくくなるとおもい適当に頷いて話を流している。
「んで、どうしたの?夏樹からにげたくなっちゃった?」
『いや、ちょっと聞きたいことがあって・・・』
そこまで口にしてやっぱりどう言えばいいのかと考え口を閉じる。
「かなちゃんのお願いならある程度聞いてあげるよー」
ウィンクと一緒にどこまで信用していいのかわからない言葉を貰い思わず睨みつける。
『夏樹に俺の場所教えた奴のセリフかよ』
「だってーかなちゃんに戻ってほしかったしー」
俺が失踪して榊に見つかったのは2週間前の話だ。
猶予があると思っていたのに嘘つきやがった。
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