少女は暴力の権化であった

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魔法により成り立つ国がある。 魔法の才がある偉大人と、それの無い無下人の二種類が生息する。 偉大人にとって、のどかで平和な国。そして無下人にとって、とりあえずいくらかの年月を生きる事は可能な国。 緑は豊か、生物は多種。魔法という桁外れの力を持ちながらにして、人々は自然とも共存を果たしていた。 国王は人望と判断力に恵まれた男性。細かい政治は町々に任せ、総まとめのような、のんびりとした仕事をしていた。 威張り散らす事もなく、時に寛容で時に聡明で、たまには威厳を発揮し……。 気候の穏やかな地方に立つ城もまた、毎日の平和に包み込まれていた。 「……とまあ、そんな感じだったわけですよねえ?」 返り血に染まった悪魔は、兵士の死体を王に投げつけた。
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