少女は暴力の権化であった

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血の臭いが充満している。 その国の王は玉座の上から、自らを警護するはずの憲兵の末路を見守っていた。 見守る事しかできなかった。 たった数刻前の侵入者によって、この城はとっくに制圧されてしまったのだから。 「ふふふふふふ。」 侵入者の一人、リーダーらしきそいつは、あろうことか男の死体を蹴飛ばして笑っている。 悪魔のような黒服の、小さな小さな少女。 「さーて、王様。我々とあなた方の格の違いは理解出来ちゃいましたね?」 悪魔の少女は震える王に向けて言った。 「私に権力をください。肩書きだけで誰もが尊敬し畏怖するような、そんな権力を私に寄越しなさい!!」 その事件の主犯は、それから駆け付けた応援数百人を蹴散らし、強引に憲兵の指揮官の地位を手に入れてしまった。 暴力による地位……。 その後この事件は、この国の歴史に深く刻まれたという。
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