Chapter2  疑念

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「おれは田中」 名前だけを言って、相手の出方を待つ。 「あのさ、昨日蜜姫と話してたろ?」 菅原が囁くように尋ねる。 「それがどうかしたのか?」 2日目にしてやっと男子に声をかけてもらったのに、菅原の言葉に刺を感じ、おれは素っ気なく訊き返す。 「あっ、いや……蜜姫とは付き合わないほうがいいぞ」 「なぜ?」 おれの左右の眉が寄る。 「なぜって言われても困るんだけどさ」 菅原は落ち着きがなくなり、言葉を濁す。 「だから余計なお世話だって言っただろ」と言って野田は菅原を肘で小突いた。 おれの想像だと、ゼロを狙っている不良がいて、わざわざ忠告に来てくれたのかもしれないと思った。
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