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「おれは田中」
名前だけを言って、相手の出方を待つ。
「あのさ、昨日蜜姫と話してたろ?」
菅原が囁くように尋ねる。
「それがどうかしたのか?」
2日目にしてやっと男子に声をかけてもらったのに、菅原の言葉に刺を感じ、おれは素っ気なく訊き返す。
「あっ、いや……蜜姫とは付き合わないほうがいいぞ」
「なぜ?」
おれの左右の眉が寄る。
「なぜって言われても困るんだけどさ」
菅原は落ち着きがなくなり、言葉を濁す。
「だから余計なお世話だって言っただろ」と言って野田は菅原を肘で小突いた。
おれの想像だと、ゼロを狙っている不良がいて、わざわざ忠告に来てくれたのかもしれないと思った。
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