Chapter2  疑念

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チャイムが鳴り、ゼロは「またね」と言って自分の席に戻る。 担任の先生からは公園には近づかないように、という注意事項が伝えられた。 おれは外に視線を向ける。 閑静な住宅街の中に鬱蒼と茂る木々に囲まれて墨福中央公園がある。 こんな近くで殺人事件があったなんて……。 テレビの画面からの映像だと現実味が湧かない。 事件のことを話していたクラスメイトも“怖いね”と口にはしていたが、体の芯から震えて出た言葉ではない。 時間潰しのためにとりあえず話題に触れてみた程度で、先生からの注意も、そんなこと言ったらかえって興味を持って肝試し感覚で近づく馬鹿が増えるだけだろ?的な空気が流れていた。
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