第3章 *一人暮らしってふと寂しくなるもんよ*

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熱が出ても行こうと思えば行けるのだが、行ったところで同僚に「そんな熱で何しに来た!!」と言われるのは間違いない。言われるのが分かりきっているのに行くという選択肢はなかった。会社の皆には申し訳ないが休ませて貰おう。始業時間15分前に会社に電話をした。 ーープルルルルルル~ 3コール目で繋がり聞きなれた声がした。 『おはようございます。〇〇会社の新山が承ります。」とアナウンスがあった。 一番知られたくない相手が出て少し熱が高くなったような気もしたが、今はそんなことを言っている場合ではない。 「あぁ、俺。助ノ浦です。」 尻すぼみになった言葉で何かを察したのかいつもよりも真剣な声色になる。 『なんか声変だけど、もしかして風邪?熱は?』 こちらから何も言っていないのにどんどんと話が進んでいく。しかし、話すこともやっとな俺にとって察してくれるのは特別にあり難かった。 「38.1℃…」 ぼそっと呟く。 『うわー結構高いじゃん、大丈夫?!』 いつもならぎゃーぎゃー騒ぎそうなのだが、多少の配慮をしてくれているらしい。電話口の声は大き過ぎないちょうどいい音量だった。
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