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『引継ぎあるんなら私やるけど、今日中にやらなきゃいけないことってあんの?』
「特に今日中のものはないけど会議が…」
その一文章を言うだけでも疲れてしまう。
『オッケー、今日の心配は要らないから、あんたは家でゆっくり休んどきなさい!』
こういうときに頼れる同僚はとても逞しかった。
『部長には私から言っとくから、あんたは早く治しなさいよ?』
「悪い…」
フッと笑った声がしたと思った瞬間には電話は切れていた。
スマホを力なくソファーに置けば、気が抜けたのか身体からも力がぬけ、ズルズルとソファーに身体を預ける。天井が視界に入りぐるぐると回って見えた。天井が回っているのか、自分が回っているのか。それさえのことも頭が働かない。
こんなことになるならあの時ちゃんと言うこと聞いとくべきだった、と後悔先に立たずだ。
夢なのか現実なのか分からない夢うつつな状態は熱が上がってきたように感じた。
ーー隆二さん、そんな格好じゃ風邪引きますって!
1週間前夕貴が晩御飯を持ってきてくれた時の話だ。
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