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「失礼しました」
バタンッ
学園長室から出てきたローランは表情を引き締め、歩き出した。
おそらく鍛練するのだろう…。
負けず嫌いの彼に火を着けたのは後にも先にも、初めてのことだった。
──
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〈1年S組〉
「今日からお前らの担任を持つクロード=フェスキーだ。」
教室に入ってきて言い放つ男性。
Yシャツはよれよれ、髪はボサボサ、今にも寝そうな目。
クラス内の好感度はあまり良いものではなかった。
「なかなか、みたいね。」
と呟く新入生代表のリオーナは違うようだが。
「今日は順番に自己紹介したら帰っていいぞ。」
言ったそばから眠り始めたクロード。
彼の周りでは赤い仄かな光が揺らめいている。
「不器用な人…。」
ざわめいたクラス内ではリオーナの呟きは掻き消される。
順に始まる自己紹介。
席順らしく、リオーナは最後から五番目。
自分の番がくるまで寝ていようと机に伏せようとした時。
「ねぇ。」
と肩を叩かれ声のした方、左隣を見る。
そこには赤い髪を短く切り揃えたボーイッシュな少女が座っていた。
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