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魔力ジャックとは…、他人の持つ魔力波長に合わせて魔力を送り、体内に自分の魔力を拡散させた後、魔力の流れを誘導するというもの。
極めて難易度が高いのはもちろん、魔力質は施術を受ける者より強くないといけない。
また失敗すると両者共に危険な状況となるので、あまり多用されていない。
「……異世界勇者召喚…。」
小さな呟きにもかかわらずリューゼンはハッと息を飲む。
「当たりのようね。」
リオーナがクスクスと笑うとリューゼンは間抜けな顔を引き締め、わざとらしく咳払いをする。
「やはり、君には隠し事出来ないようだ。あまり乗り気はしないが致し方ない。」
と諦めの滲む顔で切り出した。
「日時は来週の頭、ウォルの日だ。彼も参加が義務付けられている。」
「そう。…強者が来るのね。」
意味深な言葉に神妙な顔つき。
リューゼンは気になって聞こうと思ったが、それより先にリオーナが口を開いた。
「なんて嫌な年なのかしら…。」
小さく呟いたかと思えば徐に顔をあげ、
「勇者召喚の後に起こるのは破滅よ。…私から言えるのはこれだけね。」
変わらない冷静な面持ちでそう告げたリオーナは茫然としたリューゼンを残し学園長室を後にした。
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