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大きな門、言わずもがな連合国立魔法学園の正門である。
その前に佇む少女、リオーナ=フィオ=マルク。
彼女は心底嫌そうな顔をし、門の向こうを睨み付けている。
その視線の先、数百メートル先には小さな人影が動いている。
物凄いスピードでこちらに駆けてくる人影。
「申し訳ありません、マルク様。連絡がきちんと通っていなかったようで…」
と本当に申し訳なさそうに頭を下げる男性。
「どうせ学園長のせいでしょ。立ってるの疲れたし、行きましょ?グランツェさん」
とにこやかに話すリオーナ。
対する男性は
「ど、どうして僕の名を?」
と焦りで吃りつつも問いかける。
「さぁ、どうしてでしょうね」
と曖昧な答えを返すリオーナ。
ティオが何かを言う前に
「時間、大丈夫なの?」
と腕時計をちらりと見ながら言う。急かす言葉とは裏腹に焦る様子の全くないリオーナ。
「大変です!急ぎましょう」
と大慌てなティオは一人で先々と歩いていってしまった。
残されたリオーナは小さくため息を吐くと、後を追うように走り出した。
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