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つまり、…──
「飛び級ですが。ですが、あれだけのことを一人で?」
それには自分が新入生だけで精一杯だったのだから、そんな小さな子が一人で出来るはずがない、という意味が込められていた。
それもそのはず。
彼は近年稀に見る天才と持て囃され、平民でありながら会長の座に就いたのだ。
「残念だが、彼女一人だ。おそらく誰も止めないのを見て、悪戯心が働いたんだろう。」
と呆れたように額に手を当てるリューゼン。
続けて
「彼女は魔法において極めて優秀だが、一番凄いのは精密な魔力操作だ。君も見て思ったろう?」
「ええ、生徒の前に同じだけの魔力を並べ、それと平行に俺たちの前に魔力を送り、爆発とほぼ同時に物理障壁で俺たちを舞台袖に動かす。そんな芸当、普通出来ませんよ」
と口では人外染みていると貶すが、顔は悔しそうに歪められている。
「まだあるよ、ネロフス君。彼女は自分と保護者、さらには君達にも被害がいかないようにと魔法障壁を張っていたんだ。」
その言葉にローランは唖然とする。
ローランの様子にリューゼンはクスリ、と笑い、続ける。
「問題児なんだけど、彼女、かなり気が利くんだよ。」
ははっと笑うリューゼン。
生徒に対する炎程度なら、毎年やっているでまかり通るが、保護者となると話が違う。
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