side.M

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「あ、はぅ」 腕を伸ばせば、しっかりと掴まれる。 「木原く、」 なのに、何も言ってはくれない。 「木原くん、すき」 唇に落とされたキス。 ただその感触に酔いしれる。 「ん、ぁ///」 ーーーーーーーー ーー・・・ くてっとベッドに横たわる。 火照った体。 本当は、抱き締めてほしいけれど。 木原くんは何も言わずバスルームへ。 出てくると、新しい服を身に付ける。 「き、木原くん」 「バイト。鍵いつもんとこ入れといて」 「ーー・・・うん」 パタンと閉じられた扉。 ポロポロと、自然に涙が伝い落ちる。 帰んなきゃ。 いつも、泊まっていけと言われたことはない。 『鍵いつもんとこ入れといて』 いつも、それだけ。 他には何も言ってはくれない。 ねぇ。 私は貴方にとってなに?
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