side.K

27/30
前へ
/64ページ
次へ
駆け寄って、先輩から奪い返す。 「き、きはらくん……?」 「山根先輩、こいつ俺のなんで」 「ーー・・・参ったな。 やっと番犬がいないと思ったのに」 悪かったな番犬で。 「俺のなんで、もう手出さないでください」 「ゎ」 幕内のーー・・・栞奈の手を引いて俺の家に向かう。 「は、はなして」 泣いてる。 俺のせいで。 「ぅ、ひ、ひどいよ、きはらくん いつもいつも、私がなんで、どんな気持ちで」 知らねーよ。 なんで言わねーんだよ。 聞かせてくれねーと、わかんねーんだよ。 電車の中で、人目に触れないように覆う。 俺の家に向かうことが分かってるのか。 とぼとぼと、ゆっくりと、泣きじゃくりながらもしっかりと歩く。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加