1人が本棚に入れています
本棚に追加
春。新学期。
桜舞う通学路を歩く僕の肩はガクリと落ちていた。何と言うか、自分でこんなことを言うのもなんなんだが、負のオーラが滲み出ている。はずである。
右を見る。
ひらりと桜の花びらが視界を横切る。特に興味はないので目で追ったりはしないし、それよりも目につく光景を目撃した。
一組のカップル。男と女が男女間の関係を一線越えた彼氏彼女と呼ばれる関係がそこにいた。
男は美形。女も美形。誰もが憧れる理想のカップルと言えるだろう。その後ろには、そこまでレベルは高くはないものの、それでも自分につりあったパートナーを見つけたカップルがもう一組。
自分の事を過大評価するわけでも、ましてやそのカップルの男の事を過小評価するわけでもないが、まだ僕の方がマシな容姿をしているのではないだろうか。
あんな奴でも友達を作り、そして彼女までもを作ってしまえるのだから、人生何が起こるか分からないとは本当なんだな。
そして、左を見る。
男子生徒が何人か集まって登校していた。あれは自分一人では何も行動出来ないから仲間を探して一緒に行動したがる奴らの集まりだ。バカな話をして盛り上がる。昨日のテレビの話、話題のドラマ、最新のニュース、今週の週刊誌の話題、様々だ。
一つだけ言えること。
それは、奴ら全員がリア充であるということ。
リア充の定義は人それぞれだし、それを縛る鎖の形は限りなく曖昧だ。それでも、仲のいい友達と、彼女と登校するのはリア充と言ってもいいだろう。
もう一つ。
少なくとも、僕はリア充ではないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!