1人が本棚に入れています
本棚に追加
「他にも同じクラスだった奴もいるぜ」
その爽やか男は短髪をポリポリと掻きながら、人懐っこい笑顔を僕に向けてくる。
確かによく見れば見たことがあるような顔がちらついている。見覚えはあるものの、名前は一切覚えてないけど。
「今年も一年よろしく頼むぜ」
男は言いながらウインクをしてみせた。男であるこの僕に。女子が見れば一瞬にして惚れてしまいそうな爽やかなウインクを。
なんだこのリア充予備軍。
そして他のグループの所へと行ってしまった。まるで引っ越し後の挨拶回りだな。なにあのコミュ力。
数人の女子は小さくキャーキャーと喚いているし。あーあ、あの男なんか不幸な目に合わないかな。
「さーてそれじゃ始業式あるから講堂に移動しろー」
タイミングよく担任が教室に入ってきた。始業式か、またつまらない校長の話を聞かなければいけないのか。あれ強制だからな、もはや拷問だよ。地獄だよ。スキップ機能とかあればいいのに。
最初のコメントを投稿しよう!