gift ~たったひとつの贈り物~-2

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食事が終わり、一通りの家事が終わると私は実家に帰る準備をした。 帰ると言っても喧嘩して家を出て行くわけではない。 結婚式を明日に控えた今日は実家に泊まる事にしていたから。 でも正直言って私はそれほど行く気ではなかった。 実家なんてちょくちょく遊びに行っているんだし、結婚式前日にわざわざ帰る必要もないと思ってたから。 だけどコウが「小母さんと親子水入らずで過ごしたら?」と勧めたんだよね。 「その方が小母さんも喜ぶから」って。 まぁ、確かにお母さんも私が帰ると嬉しそうだ。 それにドラマとかで結婚式の前の日に実家に帰るってあるよね。 親に「今まで育ててくれてありがとうございました」って挨拶してさ。 でも私達はもう既に結婚しているから、今更って感じなんだけど。 コウはそれなりに気を使ってくれているのかもね。 「準備できたか?」 鞄に荷物を入れているとコウの声が聞こえてきた。 振り向くと着替えをすませたコウがいる。 「うん、いいよ。でもわざわざ送ってくれなくてもいいのに。コウ泊まらないんでしょ?」 「今日は遠慮するよ」 「なんか悪いなぁ」 そう。コウは実家には泊まらない。 私を連れて行った後、一人で帰る。 そして明日また結婚式の前に迎えに来る。 私は泊まらないのに送るというコウの気持ちが申し訳なく感じていた。 実家はそれほど遠くなく、電車でも1時間くらいあれば行ける距離だ。 だからわざわざ車で送ってくれなくてもいいのに。 するとコウは「やれやれ」と言わんばかりの顔をすると私の顔を覗き込むように言った。 「いいから気にするな。ほら行くぞ」
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