gift ~たったひとつの贈り物~-2

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「あらあら、孝くんまで悪いわね」 母親は私達が実家に着くなり驚いた顔をした。 電話で私一人が泊まると言ってたから、私一人で来ると思っていたのだろう。 それなのにコウに送ってもらった。 きっと母親の事だ、私が無理を言ったと思っているに違いない。 …いやいや違うから。 コウが送るって言ってくれたんだから。 私はそこだけはどうしても誤解してほしくなくて、大袈裟な言い方をした。 「どうしても送るって言うんだもん。ねっコウ」 すると母親は「ふーん」と興味なさそうに言うと下に視線を向けた。 そして何かを見つけたのか、ニヤリと口角を上げると意外そうに言った。 「でもあなた達ってこんなに仲が良かったのね」 「へ?」 私は母親の言っている意味がわからなかった。 こんなに仲が良かったのねって…何? 私は母親の視線を追いかけるように、自分の手元を見た。 そしてその理由がわかると間の抜けた声を出してしまった。 「あ…」 …うわっ、コウと手を握ったままだった。 最近は手を繋ぐ事が多くて、それが当たり前になっていた。 母親からすれば幼い頃から喧嘩ばかりしていた私達から想像できなかったのだろう。 だから意外を通り越して面白く感じるのだろう。 …すごく恥ずかしい。 私は慌ててパッと手を外した。 でももう遅いのか母親は私の反応を楽しむようにニヤニヤしている。 「うふふ、いいじゃない。ささっ、孝くんも中に入ってちょうだい」 母親はそう言うと先に中に入っていった。
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