gift ~たったひとつの贈り物~-2

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コウは挨拶が終わると、お茶も飲まずにそのまま帰って行った。 どうやら挨拶のみで長居をするつもりはなかったらしい。 「孝くんっていい子よね」 母親はコウが帰ると染み染みと言った その顔にはまだ余韻が残っているらしくぼんやりとしている。 用意したお茶も手を付けられず、冷め始めっている。 そりゃあそうだ。こんな展開誰が予想したか。 まさかこの場で結婚の挨拶をするなんて、私だって思っていなかったから。 母親が驚くのも当然だ。 「…うん。そうだね」 私は母親の言葉に深く頷いた。 きっと今、私の顔も母親と同様にぼんやりしていると思う。 だって…コウがあんな事をするなんて。 私を幸せにする。 それを親に公言してくれた。 よくある結婚の挨拶かもしれないけど、これ以上の嬉しい事はない。 思い出しただけで嬉しくて、また涙が出そうになる。 ああ…私はコウに愛されているんだ。 母親はやっと落ち着いたのか、湯呑を手に取りお茶を飲んだ。 そして「ふぅ」と一息吐くとニコリとして言った。 「やっぱり孝くんで良かった」 …孝くんで良かった。 私は母親の言葉が胸に引っかかった。 それはまるでずっと前から決めてたように聞こえたから。 母親はどうしてコウを選んだのだろう? 前に聞いた時は適当にはぐらかされたけど、やっぱり気になる。 だから私は聞いてみた。 「ねえ、前にも聞いたけど何でコウだったの?」
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