gift ~たったひとつの贈り物~-2

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「ふふふ。実は孝くんとはね、ずっと前から約束していたの」 「約束?」 「美羽と結婚するって」 「は?何それ?」 私は初めて聞く母親の話に驚き、間の抜けた顔をしてしまった。 だってコウと結婚するって?しかも母親と前から約束していた…って? すると母親は何かを思い出すかのように遠い目をしながら話し出した。 「美羽は覚えているかしら?あなたが小学生の時にうさぎのぬいぐるみを失くした時の事を」 「小学生の時?そんな昔の事、覚えてないよ」 「そうよね。覚えているわけないわよね。ぬいぐるみを失くしたあなたは元気をなくしてしまって、ずっと泣いていたのよ。それを知った孝くんが探してきてくれたの」 「コウが?」 「その日の夜に届けてくれてね、聞いたら夕食が終わって探しに行ってくれたんだって。私は孝くんのあなたを想う気持ちがあまりにも嬉しくて聞いたのよ。美羽をお嫁にしてくれない?って」 「コウは何て答えたの?」 私はその時のコウの返事が気になった。 だってあのコウの事だ、簡単に「いいよ」なんて言うはずがない。 すると母親はその時の事を思い出したのか嬉しそうに微笑んだ。 「うん。いいよって。その時から私の中では美羽と孝くんが結婚してくれたらいいなぁって思ってたのよ」 …うん。いいよ。 コウの返事は私の予想を反したものだった。 私の前では意地悪ばかりしてたのに、本当はその頃から思っててくれたんだと思うとどこか嬉しい。 「…そうなんだ。コウは覚えているの?」 「さあどうかしら?その話は一度もしていないから孝くんも忘れているのかもね」 母親はそう言うと「ふふっ」と笑った。
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