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「ところで、あの翠眼の娘……。あの娘は、ただの人間ではないな?」
彼女のその言葉に、俺は思わず隣へと向き直った。
どきりと、まるで心臓を鷲掴みにされたような心持ちで見つめる俺の視線の先には、見透かすような瞳を正面に向けたまま、腕を組むウカの姿があった。
「…………」
およそ数秒の間、俺は、急激に大人びた表情を顔に貼り付けて、アレックスの観察をするウカの様子を見つめてから……。
やがて、俺も正面へと向き直ると、静かに言葉を紡ぐ。
「……アレックスは、人間だよ」
「いや……。あの娘は、おそらく吸血鬼(ヴァンパイア)と人間との混血、じゃな」
「っ」
はっと、俺は息を呑み込んだ。
思わず、俺は目を丸くして傍らに視線をやると、ちょうどそのタイミングでウカが俺の方へと首を向けた。
彼女は、『どうじゃ? 当たっておるじゃろう?』とでも言いたげな、どこか面白がるような表情を俺に向けたまま、小さく鼻を鳴らした。
確かに、アレックスはウカの言う通り、吸血鬼と人間の間に生まれた半妖だ。
そういう意味では、彼女はただの人間では無いのかもしれない。
……だが。
例え彼女が半妖だとしても、本質的なところは…………。
「レオン」
「……なに?」
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