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「アレックスの事、どうして分かったの?」
ちらりと、俺はウカの顔を窺いながら尋ねたのだが……。
しかし、彼女は全く顔色を変える事無く、あっけらかんと答えた。
「あの翠眼の娘については、主達を『イザナギ』に招くための、段取りを行う話し合いの時にあらかじめシーマに聞いておった部分もあったが……。先刻私が述べた言葉の半分以上は、ただの直感じゃ」
「ちょっ、直感……?」
あまりにもあっさりとしたその答えに、俺は内心で拍子抜けしてしまった。
「うむ」
まさに暖簾(のれん)に腕押しといった、今の俺の心境を知ってか知らずか、ウカは淀みなく言葉を紡いでいく。
「私は、これでも悠久の時を生きた魔物じゃからな。経験は豊富じゃ。自分でも、なかなかの慧眼(けいがん)を持っておると思っておる。例えば物事の本質や、対面する相手の心理、人柄、性質なんかも、なんとなくじゃが、見ただけで分かるぞ」
ちなみに、と、ウカは前置きをしてから、じろじろと俺を眺め始めた。
文字通り、頭の先から爪先まで、視線を這わせるようにして無遠慮に眺め回す彼女に対して、
「うっ、ウカ……」
一方、俺は彼女の視線が体に突き刺さるのを感じて、思わず足を内股気味に閉じながら、腕で胸元を隠した。
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