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堂々とした態度で、ウカは言い切った。
一瞬、彼女の琥珀色の瞳が妖しく光った気がした。
「…………」
妙な居心地の悪さを感じながら、俺はさりげなくウカから視線を逸らすと共に、じりじりと彼女から距離を取った。
その時、
「……ん?」
不意に、ウカが怪訝そうな声を発した。
…………どうか、したのだろうか?
気になって、俺は、そっと隣を窺い見ると……。
ウカは、内股気味に閉じられた俺の下腹部に、興味深そうな視線を注いでいた。
「…………っ!」
俺は、今さっき彼女に胸について指摘された時とは比にならない程の羞恥心に襲われた。
このままでは、彼女に何を言われるか分かったものではない。
咄嗟に足を組みながら、俺は彼女の意識をよそに向けるべく、慌てて用意しておいた質問を投げ掛けた。
「……ねっ、ねぇ、ウカ」
「なんじゃ?」
返事をしながらも、彼女の視線は湯船に浸かった俺の体から外れない。
なんとも言えない焦燥感に、俺は精神的に急かされながらも、それを表に出さないようにしながら、落ち着いて言葉を重ねた。
「ところで、この学舎って、広さの割りにはあんまり人を見かけないんだけど……」
「それはそうじゃろう」
当然だと言わんばかりの口調で、ウカは応えた。
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