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「今、私達は『百鬼夜行』の討伐任務を背負っておるからの。学舎に住んでおる『学生』のほとんどは、その任務のために魔厳が張っておる結界の外に出とるんじゃからな」
「……あっ、あぁ。うん。そっか…………」
内心で、密かに俺は納得しつつ、更に言葉を重ねる。
「でも、俺とアレックスは、最初に『百鬼夜行』の説明を受けてる時に、途中であの大広間を追い出されちゃったからさ……」
「あれは、主らが重要な作戦会議中に騒ぐからじゃ」
「……それは、まぁ、そうだけど…………」
返す言葉が無くなってしまった俺は、おもむろに明後日の方向へと視線を泳がせつつ、そのまま、気まずく口籠ってしまう。
「言い訳は感心せんな」
直後に、ため息混じりのもっともな台詞が隣から聞こえてきた。
それを言われてしまうと、耳が痛い。
少しの間、隣からは責めるような気配が伝わってきていたが…………。
「……とはいえ、あの時の勾玉の映像は、幼子には少々キツかったかもしれんがな」
「えっ?」
思わず、俺はウカの方へと向き直った。
彼女は、大きな琥珀色の瞳を正面へと向けていた。
その視線の先にいるのは、もちろん……。
「うん? レオン。私が、どうかしたか?」
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