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4
ウカの配慮によって、無事に入浴を済ませる事が出来た俺は、その後、ルキとロキと別れてから、アレックスと共に部屋へと戻った。
スッ……。
取っ手に手を掛けた襖(ふすま)が、滑らかな動きと共に横へとスライドする。
そして、俺は何気なく室内へと一歩を踏み出して……。
「…………」
直後に、俺は硬直してしまった。
原因は、その時の室内に広がっていた光景。
「レオンさん?」
後ろから、アレックスの不思議そうな声が聞こえて来た。
くいくいと、俺の身に着けている巫女装束の白衣(びゃくえ)の袖を引っ張りつつ、彼女も部屋へと足を踏み出して、
「あっ……」
何かに気が付いたような声を漏らして、彼女もその場に立ち止まってしまった。
とりあえず、妙な沈黙に包み込まれたこの空気を壊すために、俺は言葉を発した。
「……ねぇ、何やってるの?」
俺がなんとも言えない表情で見つめる先には、なぜか、リンドウがいた。
彼女はどういうつもりなのか、おそらく俺とアレックスと、それから自分が寝るための布団を、三組、畳敷きの部屋に敷いていた。
最初に押し入れを確認した時には、確か布団は二組だけのはずだったが……。
その時、ふっと、今まで俺達に背を向けていたリンドウが振り返った。
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