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今、俺がアレックスに対して何かをすれば、彼女はパンツを手にしたまま何をするか分からない。
「…………」
数秒間の黙考の末、俺は、ついに涙を呑んで前へと向き直る事にした。
内心、不謹慎だとは思いながらも、『百鬼夜行』のお陰で学舎の人達が出払っている事に感謝をしながら。
5
「…………なかなか、向こうは楽しそうじゃのう」
傍らで、ウカが何事かを呟いた。
「どうかしましたか?」
何気なく、私は彼女に尋ねると、
「ほれ。あれじゃよ」
彼女は、視線で通路の先を示した。
それに従って、私も視線をそちらへと向けると……。
あっ…………。
私達のいる通路の先を、ちょうど右から現れたレオンさん達が横切って行くところだった。
まず最初に現れたのは、この『魔厳』で筆頭の神楽女(かぐらめ)の女の子だった。
続いて、その女の子に白衣(びゃくえ)の袖を引かれて、レオンさんが現れた。
しかし…………。
どこか、彼の様子がおかしい。
俯きがちに歩いているため、表情はよく分からなかったが……。
それでも、今の彼からは全く生気が感じられない。
いったい、どうしてしまったのだろうか?
気になって、歩く彼の様子を見つめていると……。
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