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それでも、実質的に『百鬼夜行』を率いているという事は、やはり彼はただ者ではないのだろう。
そもそもの話、『百鬼夜行』は本来、多くの魔物が一ヶ所に集まって、当てもなく歩き続けるだけの集団だ。
彼らの中には、決まった思想や主義、主張などというものは存在しない。
そんな彼らを『百鬼夜行』として纏めているのは、たった一つの共通認識のみ。
すなわち、自分達の上に立つ大将の存在だけなのだ。
その大将。
今回の場合は“鵺”にあたるが…………。
とにかく、肝心の大将の性質は、配下の魔物達に伝播(でんぱ)してしまう。
当てもなく歩き続けるだけの集団と言っても、もちろん保有している戦力はかなりのものだ。
例えば、『百鬼夜行』に大将の冷酷さや残忍さなどの性質が伝播すれば、瞬く間に彼らは凶悪な殺戮(さつりく)集団に変貌する。
既に、今私達がいる『魔厳』の外からは、いくつもの被害報告が届いている。
「……しかし、妙じゃな」
不意に、傍らでウカが呟いた。
私は一旦思考を中断して、首を隣に向けた。
「何か、気づいた事でも?」
「うむ」
彼女は、軽くあごを引いてから、続けた。
「『百鬼夜行』の本質は、こちらからすれば周期的に発生する自然災害のようなものじゃ。従って、彼奴(きゃつ)らの行動には毎回一定の規則性があるのじゃが……」
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