563人が本棚に入れています
本棚に追加
あの柔らかそうな布団に顔を埋めて目を閉じれば、今の俺ならあっという間に眠り込んでしまいそうだ。
もちろん、アレックスやリンドウの手前、あまり行儀の悪い行いは出来ないが…………。
俺は部屋に入ると、まずは装いを巫女装束から寝巻きへと変えるための着替えに取りかかった。
しゅるる。
今まで髪の毛を束ねていた赤い布を解くと、ふわりと長い金髪が広がった。
ふるふると、首を軽く左右に振って、更に二、三回ほど手櫛(てぐし)を通すと、ようやくいつも通りの髪型に戻る。
その調子で、俺は身に付けているパンツとサラシ以外の衣類を脱ぎ終えると、早速寝巻きを取りに押し入れへと向かう。
スッと、押し入れの襖を開いて、棚板の上に用意されている自分とアレックスの分の寝巻きを手に取る。
そうして、用を終えた俺は襖を閉めようとして、
(…………あれ?)
直後に、奇妙な違和感を覚えた。
その時に感じたおかしな感覚の正体は、幸いすぐに見つかった。
それは、今朝、俺がこの部屋を調べていた時、初めに押し入れを開けた時に見つけた、狐のお面だった。
なぜか押し入れを開けると向かい合う形で取り付けられているそのお面は…………。気のせいか、今朝に見た時と表情が変わっている気がした。
最初のコメントを投稿しよう!