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「なら、手っ取り早く片付くかな。龍一。俺はこのゲテモノの相手するから、龍一はイヴンダートを頼む。」
「了解」
イヴンダートは、誰が召喚術を使うのか解らなくする為に一カ所に固まったのであって、実際にアルバイア(の偽物)を召喚したのは1人だけだ。
召喚された魔獣を退ける方法は2つ。
1つは、魔獣を倒すこと。
1つは、召喚者を戦闘不能にすることだ。
召喚者が術を続けられなくなれば、自動的に召喚はキャンセルされ、魔獣は元いた場所に還される。
アルバイアの偽物など簡単に倒せるが、余計な体力を使いたくない。だから、狼がアルバイア偽を相手している間に、龍一が片っ端からイヴンダートを倒す。
狼がアルバイアを倒す前に龍一が召喚者を戦闘不能にすれば時間短縮になる。
「さて…行くぞ!」
龍一は一瞬にしてイヴンダート達との距離を詰め、まずひとりに強烈な蹴りを喰らわせる。
ボキン、と音がなり、イヴンダートはその場に倒れた。あばらの何本かは逝っただろう。
「俺もやるかな。来いよ、ゲテモノ」
狼は何の構えもとらずに、ポケットに手を突っ込んでだらっと立っている。
二足歩行の人狼のようなこの魔獣は、防御すらしていない狼に鋭い牙と鋭い爪を向けて襲いかかる。
その鋭利な爪が狼の爪をかっ切る一その直前に狼は拳を振るった。
狼の拳はアルバイアの顔面にヒットし、魔獣は自分の勢いをそのまま返されて後ろに吹っ飛んだ。
「遅い」
狼は一言だけ呟く。
一般人から見れば十分に速かっただろう。
だが、日頃龍一の動きを見ている、そしてその龍一と訓練している狼にとっては歩いているようにしか感じない速さだった。
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