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「ま、まさか…っ」
イヴンダートは狼を見てガタガタと震え出す。
拠点を壊滅させたランダーの外見には特徴があった。
真っ白な
雪よりも真っ白な、髪の毛。
「そう、そのまさかさ」
龍一は狼の肩を抱く。
「この御鏡狼こそ、拠点を壊滅させた張本人」
狼は無表情のまま、龍一の背中を叩く。
「そして拠点の防衛より自分の命を優先し逃げようとしたイヴンダートを一人も残さず殲滅したのが、この若葉龍一」
ランダーの、対イヴンダートにおけるルールは「全滅」「完膚なきまでに完全な勝利」。
つまり、一人も残さず殲滅しろということだ。
狼が中を制圧し、狼よりは実力のない龍一が残党掃除。
拠点を壊滅させたのは、狼たった一人だ。
今までにイヴンダート拠点がランダーに壊滅させられたことは幾度もある。
だが、年端のいかない少年1人に全滅させられた例は一度もなかった。
だからこそ、狼はイヴンダートに恐れられている。
その時まだイヴンダートに所属していなかった目の前の新人たちが、簡単に戦意を失う程には。
「ひ、ひぃっ!」
狼の正体を知ったイヴンダート2人は、武器を捨てて逃げ出そうとした。
が、
「「逃がすか」」
イヴンダートがこちらに背中を向けた瞬間には、2人は動いていた。
ランダーのイヴンダートに対するルールは、「全滅」「完膚なきまでに完全な勝利」。
狼がイヴンダートの首を切り裂くのと、龍一がもう1人の首を折ったのは同時だった。
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