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「報告ご苦労だった。下がっていいぞ」
『失礼しました!』
狼と龍一は揃って挨拶し、部屋を出る。
「腹減った!飯行こうぜ!」
「風呂が先」
「えー何で?」
「血生臭い」
「えー…」
早く夕食にしたかったのだが、狼の言うことは最もなので、2人は先に風呂に行くことにする。
風呂は寮に、各部屋1つずつ設置されている。なので、寮に戻らなければいけない。
今居る建物から寮へ行く道の途中に、食堂はある。
龍一は食堂に顔を覗かせて、調理員に声をかける。
「俺たちの夕食残しといてくださーい!」
はいよー、と声が返ってきて、龍一は安心して狼と寮に向かう。
「じゃあ、風呂上がったらここで」
「うん」
寮の前に着き、狼と龍一は一度別れる。部屋が棟ごと違うのだ。
龍一は成人男子が住まう「紅蓮棟」の3階の団体部屋で、4人で住んでいる。
対して狼は、通常なら未成年男子の棟「旋風棟」に部屋を持っているはずだが、狼は特別な能力を持つ者の棟、「螺旋棟」に住んでいる。
狼の能力は特殊だ。
通常、能力は「◯◯系」と分類される。龍一なら、自分の走るスピードを上げるから能力上昇系、と言ったように、様々な能力の中でも共通点を見出し、分類する。
他にも、移動系、飛翔系など様々だ。
だが、狼の能力はそういった分類に当てはまらない。
強いていうなら能力上昇系に当てはまるだろうが、その枠に入れるには、狼の能力はあまりに強大で、そして様々な違いが出てくるのだ。
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