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「狼(ロウ)!」
夜。
誰かが街を歩いている少年の名を呼んだ。
狼と呼ばれた少年は後ろを振り返り、自分の名を呼んだ人間を探す。
ひとりの青年が、狼の方に走ってきた。
青年は狼のそばに来て止まり、その肩に手を置いた。
「ったく、勝手に拠点を抜け出すなよ」
「ごめん、龍一(リュウイチ)。ちょっと散歩がしたくなって抜け出した」
狼は心配をかけた、と青年に謝る。
狼のフルネームは、御鏡 狼(ミカガミ ロウ)。
白い髪に、黒い瞳。歳は17だ。
育ち盛りの少年で、身長は176cmとやや高めだが、その割にはかなり痩せている。
走ってきた青年は、若葉 龍一(ワカバ リュウイチ)。
黒髪黒目。歳は21。
がっしりとした体躯に長身の180cm。
狼は学生の年齢だが、学校には行っていない。
そのかわり、狼も龍一も研究所に行っている。
2人とも超能力者である。
この世界では、超能力者のほとんどが所属している組織と、所属している人のことをランダーと呼ぶ。
ランダー。神々の世界への門を開ける者。
2人は若いながらも、日々戦いにその身を置いている。
それが、宿命。能力を持って生まれてきた者の宿命。
端から見れば、狼の髪の毛は多少目立つが普通の人間だ。
だが、戦闘においては格闘のプロを遥かに凌駕する力を発揮する。
普通の人間に敵う相手ではない。
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