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「ちょっと待て」
スリランの話を止めたのは、普段は無口で温厚なテルだった。ベッドに腰かけたまま、見あげるようにウルルク出身の第7班のメンバーをにらみつけている。
「おれたちの部屋が臭くなって、たまらん。なぜ、ウルルクのやつらなんかに入室を許可したんだ。おれは外地人など、絶対に進駐官として認めないぞ」
テルの態度が急に硬化して、タツオは驚いてしまった。クニがとりなすようにいう。
「おいおい、おまえが認めなくとも、この4人はうちの高校の生徒だろ。おまえが外地差別をするなんて、思ってもみなかった」
スリランの背後に立つ3人のウルルク人のひとり、身長が190センチ近い巨漢が吐(は)き捨てるようにいった。
「日乃元皇国(ひのもとこうこく)の純血主義のお坊ちゃんか。世界はこの学校みたいに甘っちょろいところじゃないんだよ」
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