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スリランが手を開くと、紫色のちいさな巻貝が見えた。全員がのぞきこむ。
「これはウルルク南部の海辺でとれる猛毒の巻貝だ。矢じりに塗(ぬ)れば大型の肉食獣でも数分のうちに呼吸困難で死亡する毒をもっている。昔から、ウルルクでは暗殺の告知としてつかわれてきた」
声にならないため息が漏(も)れて、4人部屋を満たした。
「ちょっと見せてもらっていいかな」
ジョージが巻貝を手にとり観察した。スリランに戻すといった。
「めずらしいものをありがとう。このウルルクコムラサキガイは麻痺(まひ)性の神経毒で有名だ。サキシトキシンの30種ある同族体のなかでも最強度の猛毒を誇る」
スリランはうなずくといった。
「もうひとりはきみだ、逆島断雄(さかしまたつお)」
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