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 テルが自分の学習机の端(はし)をつかんだ。ばらばらと本やノートが落ちていく。軽々と4人部屋の中央に引きだした。消しゴムをとりだすと、まだ長いカッターの刃を突き刺した。 「もうひとついるな。クニ、おまえの消しゴム貸してくれ」  クニが消しゴムを放(ほう)ると、テルは同じようにカッターを刺した。 「このあたりでいいか」  机のうえに二つのカッターつき消しゴムを離しておいた。制服のシャツを腕まくりする。 「でかいの、どうだ、おれと腕相撲の勝負をしないか」  負けたほうの手の甲にカッターの刃が突き刺さる。腕相撲のロシアンルーレットだ。 「でかいのじゃない、おれはカイだ。おまえの名は?」  巨漢が机のまえに立ちつくした。グローブのような手でデスクトップの両端をにぎると、木がきしむ音がした。 「谷照貞(たにてるさだ)。おまえの力自慢の鼻っ柱をへし折る日乃元人だ」  カイがにやりと笑った。
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