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「ふざけるな。おれたち4人は王族派の数すくない生き残りだ。あの貴族どもはいつか、おれたちがこの手でぶっ殺す」  南アジアの豊かな資源国ウルルク奪還は、日乃本皇国の悲願だった。ということは、カイもテルも目的は同じなのだ。それなのにこんなふうにいがみあっている。人を決定的に分ける国境というのは、いったいなんなのだろうか。 タツオはテルとカイの拳(こぶし)のうえに自分の手を重ねた。カッターの刃がぎらりとすごみのある光りを放(はな)った。 「勝っても負けても、おたがい恨みっこなしだ。よーい、始め」  床に固定していない机がきしみながら、15度ほど回転した。腕の太さはふたりとも5割増しになったようだ。血管と筋肉が盛りあがり、拳の先は力を入れ過ぎて蒼白になっている。
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