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 第7班のリーダー、スリラン・コーデイムはウルルク王族の血を引くという。生まれついて備わる権威なのか、生徒たちは自然に周囲をかこんで床に腰をおろした。 「地獄の遠足では怪我(けが)人は毎年当たりまえで、5年前には2名の死者をだしている。大自然のなかでの演習だから、教官たちの目はいき届かない。2名の死者も照準をつけられて、学年の全生徒から獲物のように追われたという」  いじめの対象になるという進駐官用語が、「照準をつけられる」だった。ここは普通の学校ではないので、いじめはそのまま生命の危機に直結するのだ。 「今年の照準は、ふたつ」  スリランが浅黒い顔を昂然(こうぜん)とあげ、胸を張った。 「まず、ぼくだ。北ウルルクの傀儡(かいらい)政権は旧王族の血を根絶(ねだ)やしにしたいらしい。この学校のなかにも氾帝国と北ウルルクの息がかかった生徒が侵入しているようだ。こんなものが届いた」
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