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「クシュルよ。何の話をするのかと思えば幽霊の噂話か」
父王は続けた。
「パシュルが旅にでて経験を積んでいるというのにお前ときたら。どうせまた変な本ばかり読んでいるのだろう。わしが知らないとでも思っていたか!」
クシュルは必死になって反論した。
「父上。幽霊とは生と死の境界に存在し、寺院はその両側にいる者を癒す場所。とても無視してはなら……」
「やかましい!!」
父王は一喝した。クシュルは二の句が告げなかった。
「もっとこの国の経済指標の動向にでも関心をもったらどうだ。不愉快だ。わしは仕事に戻る」
クシュルの目論見は完全に失敗した。
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