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「今はまだ平気だけど、このあと暑くなるから、そしたらエアコン使ってね」
午前八時過ぎ。僕は、バイトに出かける前に留守番の仕方をアゲハに教えていた。
僕のバイトが午後五時までだから、家に着くのは午後六時くらいだということや、訪問客がチャイムを鳴らしても無視してもいいことなど。
「エアコン……」
あれだよ、と僕は天井近くに設置されている四角く白いものを指差す。そして、リモコンを持ち、「このリモコンのこのボタンを押すと、冷たい風が出るんだ」と、説明する。
アゲハは僕の手からリモコンを取ってボタンを押した。ピピーという音とともにエアコンの通風口が動き出した。
「うわっ」
そして、ゴゥと冷気が吐き出される。
「ゴーっていってる」
「手を翳してみるとよくわかるよ」
僕は、エアコンの通風口の下に手を翳す。アゲハも僕に倣って手を翳すけど、身長の低いアゲハは冷気を感じられていないらしく、首を傾げた。
僕は、椅子をアゲハの近くまで引きずって、乗るように促した。
「あ。つめたい!」
「暑くなったら窓を閉めて、今やったようにリモコンのボタンを押すんだよ?そうすると、この冷たい風が出てくるから」
「暑くなったら……。うん、わかった」
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