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通っていた高校はアルバイトが禁止だったから、今働いている喫茶店が僕の初めての職場だ。
大学が夏休みの今、僕は稼ぎ時とばかりに週五でバイトを入れている。休みは月曜と金曜。
本格的な喫茶店には負けるけど、もともとこのチェーンの喫茶店が好きで、よく利用していた。それがきっかけで、バイトを始めて、約三カ月。
僕は喫茶店では一人で本を読むタイプの客で、それ故、おしゃべりがうるさい人は好きじゃない。それは、バイトをするようになってからも変わってなくて、たまに、うるさい客に対して、心の中で悪態をついてしまう。
これまで先輩たちに注意されたことがないところをみると、どうやら僕は、表情の変化に乏しいらしい。便利なところもあるけど、接客業としては、致命的だ。
中途半端に忙しく、けれど問題なく時間は過ぎていった。
「お先に失礼しますー」
一声かけ、僕はスタッフルームに入る。
現在、午後五時十五分。
たまに店員の人数が足りなくて、少し残業することがあるけど、今日は早く下がれた。
腰に巻きつけているエプロンの蝶蝶結びに手をかけ、ほどく。支給されている制服をバサバサと脱ぎ、今朝着てきたTシャツとGパンを身に着けた。
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